防水工事を検討される方へ~第2回 なぜ防水工事が必要なのか?現状を知ろう!~
今回のテーマは《なぜ防水工事が必要なのか?現状を知ろう!》です。
前回からだいぶ期間が空いてしまいました?毎週掲載する予定が・・・すみません。。( ;∀;)?
・・・気を取り直して、本日から公開していきたいと思います!
※この記事の内容は、個人オーナー様向けとなっています。
戸建やマンションなどをご所有されていて、今後どのように改修計画を立案していくか、参考にして頂けるような内容にしたいと思っています。
さて、前回の第1回目では《防水工事とは?》というテーマで、
歴史・起源を辿りながら、現在の建築物で施工されている防水工法をご紹介しました。
今回のテーマはもう少し掘り下げて、『なぜ防水工事が必要なの?』という部分に焦点を当てていきます。
なぜ、防水工事が必要なのか?
防水工事が必要な理由はいくつか考えられますが、私個人としては下記をお伝えしています。
防水工事等建物のメンテナンスを行わないと、
① 建物に水が入ることで、内部から劣化が進む
②(個人・集合住宅問わず)住んでいる・利用している方々に影響を及ぼす
③ 建物の価値を下げる
一つずつ順を追ってご説明します。
① 建物に水が入ることで、内部から劣化が進む
構造が鉄筋コンクリート造でも鉄骨造でも木造でも、内部に水が入ることで劣化が進みます。
鉄筋や鋼材、木部を錆びたり、腐らせたりするからです。
また、劣化が進んでしまったものについては、補修では済まないようなこともあるため、雨水が入らないように未然に防ぐことが重要です。
②(個人・集合住宅問わず)住んでいる・利用している方々に影響を及ぼす
①で挙げたように内部の劣化が進むことによって、そこに住んでいる人・利用している人には、
例えば【漏水】という形で、影響を及ぼすことがあります。
漏水が起こることで、雨が降るたびに精神的な負担やストレスが起こりますし、家財などが壊れることもあります。
また、カビなどの発生や、木造だと白蟻被害の可能性も出てきます。
過去に漏水を起こしているご自宅で、カビが大量発生していて、お住まいになられている方が喉を傷めていたことがありました。。
漏水への対策工事だけでなく、内装リフォームも行わなくてはならない等、予期せぬ出費がかさむケースがあります。
③ 建物の価値が下がる
建物は、構造や用途などによって法定耐用年数が定められています。
法定耐用年数とは、その資産の使用可能な期間を法律上で公的に定めた年数です。
この法定耐用年数を基準として、建物の耐用年数を判断することがあります。
しかし、同じ条件で同じ立地で建てられた建物でも、同じ金額で不動産取引されるわけではなく、
建物の傷み方や使う人の使い方、建物のメンテナンス状況によっても差が出てきますよね。
不動産取引の際は、ただ単純に建物の耐用年数だけでなく、建物が新築時から無価値になるまでの「経済耐用年数」も合わせて判断されます。
建物の立地環境や痛み、メンテナンス履歴等といったものは、経済耐用年数に係る部分と考えられます。
また、建物のメンテナンスは集合住宅の場合、建物の治安維持や入居率にも繋がります。
改修工事等のメンテナンスを行うことで、建物そのものの美観等が良くなることはもちろんですが、
住んでいる入居者の建物への意識が変わったり、新たに入居される方が増えたりと、お住まいになられる方々への影響があります。
③は防水工事より少し広義的な内容になってしまいましたが、
これらの①~③は、防水工事等の建物メンテナンスを行う事で防げたり・向上出来ることです。
長期的に建物を維持していくためにも、防水工事は必要不可欠な工事だといえます。
現状を知ろう!
では、実際にご自宅や所有されている建物の防水層について、改修を行ったほうがいい状態の例を挙げさせていただきます!
ケース1)《FRP防水》の場合
①新築時もしくは前回改修から10年程度経過している
②表面にひび割れが目立つ
③表層の塗膜が剥がれている
④表層が剥がれて、下地のガラス繊維が見えている
出典:FRP防水材工業『FRP防水の手引き‐Q&A集-』NO,12より
journal.pdf (fbk-bousui.jp)
上記写真のように、表面のひび割れや剥がれなどが目立っていたら、改修のタイミングです。
劣化の程度によっては、トップコートという防水層を保護する塗料の塗替えで済む場合もありますが、
痛みが酷ければ、部分補修や防水層のやり替えが必要になることがあります。
年に一度でも良いので、上記のような不具合が出ていないかチェックしてみて下さい!
ケース2)【ウレタン塗膜防水】の場合
①新築時もしくは前回改修から10年程度経過している
②表面に微細なひび割れが発生している
③表面が剥がれている
④(通気シートが張ってある場合)通気層が見えている
出典:株式会社ダイフレックス『コスミックPRO12ゼロ』カタログ内 P44より
cosmic_pro12_zero.pdf (dyflex.co.jp)
上記写真のような劣化症状が現れたら、改修のタイミングです!
写真をみていただくと、状態によっては保護塗料の塗替えだけで済む場合もあります。
早期にメンテナンスを行う事で、防水層そのものを延命させることが出来ます。
FRP防水もウレタン防水も、防水層の上に保護塗料が塗られています。
これが紫外線や雨水から防水層そのものを守っています。
この保護塗料は、おおよそ5年に一度の塗替えを推奨されています。
塗り替えることだけでも、防水層の延命に繋がります。
※保護塗料そのものは防水機能がありませんので、ご注意を!
ケース3)【シート防水】の場合(塩ビシート・ゴムシート防水)
①新築時もしくは前回改修から10~12年程度経過している
②シートの重なり部が剥がれている
③シート本体に穴があいたり、破れている
④シートの押さえ金物や笠木の取付が緩んでいる
⑤シートが歪んでいたり、引っ張られていたり、目視上明らかに接着していない
シート防水については、既製品を現地で貼り合わせたり、機械で固定させて防水層を作ります。
その為、シート同士の貼り合わせ部分や立上りや入隅等で不具合が起こることがあります。
また、シートの端部は金物で押さえられていたり、笠木が被さっているので
その部分の取付が緩くなっていると、内部に雨水が侵入する可能性があります。
張り合わせや端部を注意してチェックしてみて下さい!
ケース4)【露出アスファルト防水】の場合
①新築時もしくは前回改修から13年程度経過している
②表面にひび割れが目立っている
③防水層の弛みや浮きがある
④立上り等防水層の重なり部分が開いている
⑤押さえ金物が緩んでいる
写真のように、シートが弛んでいたり、密着していない状態が確認出来る場合は、
早急にメンテナンス計画を立てることをお勧めいたします。
※屋上等に草や木が生えてしまっている場合があります。
この場合、防水層を木の根が突き破ることもある為、定期的な清掃は大変重要です。
また、排水口に泥などが詰まると、水の流れが悪くなり、溜まった水が防水層を劣化させる原因になります。
年に1度~2度、台風や大雨の後等、こまめな確認が大切です。
防水層チェックシートは下記からダウンロードください!
各防水別で劣化診断を挙げさせていただきました!
上記の項目に当てはまらないけれども、状態が悪い気がする、という場合もあるかも知れません。
そんな時は、ぜひ現地調査をご依頼ください!
また、防水層劣化度チェックシートを作成していますので、そちらにご記入いただき、
写真と合わせて、弊社お問合せフォームへお送り頂ければと思います。
まとめ:防水工事は建物を守るために必要!今の防水工法を知り、劣化具合に目をむけることで、早期に不具合を改善することが出来る。
第2回目も長くなりましたが、いかがでしたでしょうか?
ここに上げさせていただいたものは一例で、このほかにも様々な防水工法があります。
建物によっては、防水層の下層に断熱材が敷いてある工法や通気シートが入る工法等、
建物の状況に合わせて、防水工法が多岐にわたって御座います!
『見ただけでは分からない』、『実際に劣化しているのか不安』な場合は、
ぜひチェックシートをご活用いただき、お問合せ頂ければと思います^^
早期発見、早期メンテナンスが、建物の資産価値を守り、ライフサイクルコストの低減に繋がります!
次回、第3回目は改修工事で多く採用されているウレタン塗膜防水の改修方法を具体例として挙げ、
どんな風に改修していくかをお伝えしていきたいと思います!
ブログをご覧いただき、ありがとうございました!
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