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防水工事を検討される方へ~第3回 ウレタンゴム系塗膜防水での改修方法 など~

皆さん、こんにちは!

今回は第3回目の投稿、テーマは《ウレタンゴム系塗膜防水での改修方法》についてです。

なぜウレタン塗膜防水での改修方法についてなのか、そもそもウレタンゴム系塗膜防水って何ぞや?からお話していきたいと思います。

※この記事の内容は、個人オーナー様向けとなっています。

戸建やマンションなどをご所有されていて、今後どのように改修計画を立案していくか、参考にして頂けるような内容にしたいと思っています。

ウレタンゴム系塗膜防水とは?

《ウレタンゴム系塗膜防水》ですが、【塗膜防水】というジャンルの中にある一つの防水です。

塗膜防水は、下記のようにいくつか種類があります。

①ウレタンゴム系塗膜防水

②超速硬化ウレタン吹付防水

③アクリルゴム系塗膜防水

④ゴムアスファルト系塗膜防水

⑤FRP防水

それぞれに特徴や多く使用される場所などがあり、すべてのご説明をすることをここでは割愛致します?

ただ、よく耳にしたり使用する場所が多いのは、①ウレタンゴム系塗膜防水⑤FRP防水ではないでしょうか?

塗膜防水】とは、読んで字のごとく、『1成分または2成分の液状防水材を塗布し、成膜させて防水層を作る工法』です。

液体状の防水材を塗り付ける(1成分型)、もしくは主剤と硬化剤(2成分型)を混ぜ合わせたものを塗り付け、

その材料が固まることで膜が作られ(造膜)、防水層が形成される、というものです。

固まることで初めて防水層としての機能が出てくるため、硬化養生(固まるまで決められた時間を置く)が必要な材料です。

では、【塗膜防水】の中でもなぜ《ウレタンゴム系塗膜防水》をピックアップしたのかというと、

ウレタンゴム系塗膜防水は建物の改修時に多く採用されていることや、

屋上やベランダ、開放廊下など、使用される場所が多岐にわたる防水であるからです!

そんな《ウレタンゴム系塗膜防水》ですが、次に《改修方法》と《押さえておきたいのメリット・注意点》を挙げていきたいと思います!

ウレタンゴム系塗膜防水の改修方法

ウレタンゴム系塗膜防水は、新築工事でも改修工事でもそれぞれ使われています。

今回は改修工事の施工例をご紹介いたします!

物件は鉄骨造の集合住宅で、既存防水層はゴムシート防水で仕上がっていました。

ゴムシート防水が劣化し、漏水を引き起こしていた為、防水層を全撤去し、新たにウレタンゴム系塗膜防水で改修しました。

ゴムシート防水の改修は、下記のような流れで行っていきます。

  1. 笠木などを一時撤去
  2. ゴムシート防水を撤去(平場・立上共)
  3. 撤去後の下地を補修
  4. プライマーを塗布
  5. 通気シート張り、脱気筒・改修用ドレンを設置
  6. ウレタンゴム系塗膜防水材を塗り付け(今回は2㎜仕様でした)
  7. 保護塗料塗布
  8. 施工後

1)笠木一時撤去

立上~天端の防水層をしっかり撤去するため、笠木はすべて外します。

2)ゴムシート防水を撤去(平場・立上共)

3)撤去後の下地を補修

既存防水層の下地にひび割れや欠損がある場合、適切な処置が必要です。

今回下地のひび割れが多く目立ち、漏水の原因と考えられる為、Uカット処理をし、シーリング材を充填しています。

その他欠損などがあれば、モルタル補修などを行います。

補修後は、下地調整材としてカチオンを全体に薄塗りしています。

4)プライマーを塗布

※プライマーは、下地に造膜し、接着を助ける材料です。

5)通気シート張り、脱気筒・改修用ドレンを設置

↑この筒は脱気筒といい、通気シート内を通った湿気を逃がす装置です。

おおよそ50㎡につき1箇所設けることとされていますが、状況によって増えることもあります。

↑改修用ドレンといい、既存のドレンに《つばとホース》が一体となったものを入れ、新たにドレンを作る方法です。

ドレンでの漏水等が起こっている場合など、状況に応じて設置します。

今のドレン径よりも少し小さくなるため、排水状況を見て考えながら設置が必要です。

すでにシート内部に雨水が侵入し漏水しているような場合や、下地から湿気が上がることが想定される際は、

《通気シート》を入れ、湿気を逃がす対策をします。

下地にそのまま防水材を塗り付ける《密着工法》という方法もありますが、

下地を防水材で覆うことで防水層が《膨れ》を起こす場合がある為、通気シートを用いた防水改修をご提案することが多いです。

また、鉄骨造は地震などで挙動が大きくなるので、建物が揺れた時に防水層が切れるのを防げるという点でも、通気シートをいれた工法が合っています。

この通気シートを入れた工法を、《通気緩衝工法》と言います。

6)ウレタンゴム系塗膜防水材を塗り付け(今回は2㎜仕様でした)

上の写真は平場の2層目、下の写真は立上の2層目を入れています。

防水材によって㎡あたりの規定量が定められており、この規定量をしっかり塗ることで膜厚が担保されます。

㎡あたりの規定量を2回塗り重ねることで、2㎜または3㎜といった膜厚を付けられる、というものですが、

この規定量を塗り付けるという工程には職人の技術や経験値が大切になっていきます。

特に立上部にはそれが顕著に表れるので、日々技術の積み重ねが必要になります。

☆弊社技能士の施工風景をご覧いただけます。

平場、立上りにウレタン塗膜防水を施工していますので、ぜひご参照ください。

7)保護塗料塗布

ウレタン塗膜防水材の塗布後、保護塗料を全体に塗り付けていきます。

ここで塗りムラが無いように、しっかりと塗布していくことが大切です。

保護塗料は、防水層の劣化を防いでいます。

防水層そのものは紫外線や雨水などの影響を受けやすいため、塗りムラがあるとそこから劣化が起こる可能性があります。

保護塗料をしっかりと塗り重ねるだけでも、防水層の延命に繋がりますので、ここも重要な施工となります。

8)施工後

ここまでが《通気緩衝工法》という、下地の湿気を逃がし、建物の挙動を緩衝する通気シートを使った防水工法となります!

この物件の防水工事をおこなうために係るすべての工程で、14日程度の作業でした。

ウレタンゴム系塗膜防水のメリットと注意点

改修の流れを見て頂いたところで、実際にこの《ウレタンゴム系塗膜防水》のメリットと注意点について、お伝えしていきたいと思います!

※私見も混じっています?ご了承ください。

メリット1)液体状の防水材の為、細かい取合いにも対応できる

防水は、何も緩衝物や障害物の無い平たい場所に施工するのが一番理想ですが、

実際は、商業施設やビルを例に挙げると、いくつもの空調設備がドンッ!と置かれていたり、配管が走っていたりと、

物凄く細かい作業が多くなるような状態だったりします。(個人宅や集合住宅はあまりそういったことはありませんが?)

這いつくばって細かい部分の作業をしなければならないという場面では、成型物などと比較した時に、

液体状のウレタンゴム系塗膜防水材は適していると言えます。

(もちろん!ただ塗ればいいという事ではありません?適しているだけで、納め方の検討は必要です!)

メリット2)シームレスな防水層を作ることができる

防水を行う上で注意を払ければいけないことは、『モノとモノとの取合い部分』です。

例えばシート防水は、幅1.2~1.5m程のシートを重なり合わせて作る防水ですが、その重なりが劣化すると剥がれてしまうことがあります。

そういった部分から内部に雨水が侵入し、漏水を引き起こすことがあります。

一方でウレタンゴム系塗膜防水は、液体状の防水材を塗り付け、硬化(固まる)ことで、一体化した防水層を作ることが出来ます。

継ぎ目なくシームレスな防水層が出来るという点では、『モノとモノとの取合い部分』からの漏水リスクは下がると言えるでしょう。

メリット3)次回の改修時も、上から塗り重ねて防水ができる

ウレタンゴム系塗膜防水の良い点は、上からまたウレタンゴム系塗膜防水材を塗布できることです。

何度か上から防水をしていくことは、他の防水方法でも可能ですが、2回目の改修時には全撤去が必要な場合があります。

それ故、全撤去した際の防水層は産業廃棄物となり、処分費が掛かります。(防水シート処分は別途料金がかかる場合もあり)

(例えば、新築時はシート防水→1回目の改修:シート防水の重ね張り→2回目の改修:全撤去して新規防水、という流れ)

その点、ウレタンゴム系塗膜防水は何度も塗り重ねて改修を行うことができることや、

この防水の最大の肝である《膜厚》が、塗り重ねることで厚みを増すことが出来るということも利点と考えています。

以上、メリットを挙げさせて頂きましたが、次に注意点をお伝えいたします。

注意点)施工品質に差が出やすい

ウレタンゴム系塗膜防水は改修工事に多く使われている為、取り扱っている防水工事業者が多いです。

また、ローラーなどを使用して塗り付ける場面もある為、塗装工事業者が施工することもあります。

そこが注意点になるのですが、どうしても品質に差が出やすいことが挙げられます。

ウレタンゴム系塗膜防水の最も重要な点は、【膜厚を担保すること】です。

前にも記述していますが、ウレタンゴム系塗膜防水は㎡あたりの塗り付ける規定量が定められています。

その規定量をしっかり塗り付けることで、2㎜または3㎜の膜厚が担保されます。

そこの部分を注視せず施工を行うと、しっかりとした膜厚がつかず、防水としての機能が損なわれてしまいます。

防水の厚みを管理することを【膜厚管理】と呼びますが、

施工の際に規定量をしっかり塗り付けられるよう区画分け(墨だし)を行った上で防水施工を実施することや、

測定器等を使って膜厚を確認することなど、防水の機能を最大限発揮できるように、管理していくことが重要です。

少し見えづらいですが、番号振り分けと区画分けを実施した時の写真です。

まとめ:ウレタンゴム系塗膜防水は【塗膜防水】というジャンルの一つ。ウレタンゴム系塗膜防水のメリットはシームレスで細かい施工場所にも向いている。ただし注意点は、施工品質に良し悪しが出やすい点が挙げられる。

第3回目は《ウレタンゴム系塗膜防水》について、改修工事の流れを見て頂きましたが、いかがでしたでしょうか?

また、数ある防水の中で、【塗膜防水】というジャンルだけでも様々あることが何となくお分かりいただけたかと思います!

そんな塗膜防水の中でも、今回ご紹介した《ウレタンゴム系塗膜防水》は改修工事で使われることが多いです。

決められた規定量をしっかりと塗り付け、塗り付ける際も施工環境や施工場所に応じて厚みが均等になることを考えながら作業にあたる等

職人一人一人の技術や経験が大切になります。

ただ単に塗ればいい・綺麗になればいいという事でなく、

10年先もしっかりと防水機能が維持され、工事をしてから何も不具合が無かったね、不安が解消されたね等と言って頂け・感じて頂けて

初めて防水工事を行うことの意義や大切さを感じていただけると、弊社は考えています✨✨

そんな施工を続けられるよう、弊社一丸となって防水工事に取り組んでおります!☺

余談 -ネットや動画サイトの情報を閲覧されるとき-

よく、ネットや動画サイトでは、各防水でどちらの方が良いという情報が出ていますが、

どの防水が一番優れている!】というのは一概に言えません。

私個人としては、その防水ごとに特性があり、建物の立地や構造・環境で得手不得手があり、メーカー自体もそれを喚起しています。

また、オーナーさんが今後どのように所有していきたいかということも、

今後のライフサイクルコストを含め、どんな防水工事を実施していくか・・それも選ぶ時のポイントになるでしょう。

今回の記事では《ウレタンゴム系塗膜防水》について触れていますが、これが必ず良いからというわけではなく、

よく改修工事で使われる仕様で、かつ弊社も数多く携わらせて頂いていることも理由の一つです。

『絶対にこっちがいい』と業者側が勧めるのではなく、

実際に所有されている方々にメリットを感じて頂けたものをご提案することが良いのではと考えます。

この場所にこの防水で施工が出来るかどうかとか、プロとして進められるかどうかは、ご説明を十分にすることも必須です!

そんなことを考えて、日々ご提案をしています(^^)

余談が長くなってしまいましたが?

ぜひ防水工事を検討される際の参考になればと思います☺

次回は第4回目《改修工事全般を検討するときのポイント》について触れていきたいと思います!

皆さんに有益な情報となるよう頑張って投稿致しますので、残り2回・・・ぜひお付き合いください!(^^)!

記事へのご質問や疑問は、Twitterやお問合せフォームからぜひご連絡くださいませ✨

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!

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